プリパラの魅力と「ラスボス」
このブログの実質ひとつめの記事なので比較的ととのってる文章を載せます。2014年より稼働中のアーケードカードゲーム連動アニメ、プリパラの魅力と「ラスボス」についてです。
説明はウィキペたんにまかせた。
プリパラ - Wikipedia
プリパラの魅力は、アニメとしては変な言い方だけど、読み進めさせる力が強いことだと思います。
1話単位では、『ミルキィホームズ』で鳴らした森脇ふでやすコンビの次々畳み掛けられるスラップスティックカオスギャグでたるむことなく画面に釘付けになれる。それに合わせて登場人物も全員相当「濃い」。しかし、そうすると下手すれば単なる「一発ネタキャラ」になってしまいそうな所を、作品テーマに合った個性の持ち主として描く手腕もすごい。
複数話にまたがるストーリーに関しては、各クールが比較的独立しているところが特徴的。わりと意図的にクールごとに趣向が少しずつ変わっていきます。そのクール毎にテーマを体現した「ラスボス」(自分で勝手に言ってる言葉なんで後で説明します)がいることによってストーリーが盛り上がり、各クールで少しずつ雰囲気が違うので飽きがこない。
そしてもちろん高品質なCGダンス。
そういうわけで、1話1話はギャグアニメ+CGダンスとして見て、キャラクターを追っていくうちに、クール毎のストーリーの盛り上がりにもハマれる。女児アニメとしてはコンパクトな3クールの中に、そういう完成度の高さがあるのがプリパラです。女児アニメ初心者の人にもおすすめ。
各クールごとに見ていくと、1クール目は、主人公のらぁらがプリパラに出会う所から、プリパラの世界を紹介しつつ、みれぃとのライブを重ねて、第1クールの「ラスボス」である人気アイドルのそふぃに近づいていく。
2クール目は、そふぃも加えてついにプリパラの基本となる3人チームが結成。ライバルチームであるドレッシングパフェが登場し、切磋琢磨が描かれる。その中でプリパラを禁止している2クール目の「ラスボス」大神田グロリア校長の背景が描かれはじめる。
3クール目は、ドレッシングパフェとの合同チームとなり、敵なしと思われたところにプリパラ世界から生まれたボーカルドールであるファルルが登場し、圧倒的な実力を見せつけます。プリパラ第1期のラスボスにふさわしい存在感です。ファルルへの挑戦がクール中盤までの原動力になります。クール後半、らぁらたちはファルルと友達になり、ライブで勝利します。しかし、プリパラ界で孤高のトップであるべきボーカルドールであるファルルは、友達とプリチケをパキったという事態に論理矛盾を起こし、停止(死)してしまう。
で、自分が勝手に言っているクールごとの「ラスボス」の話です。前述のとおり、私が言っているのは、1クールのそふぃ、2クールの校長、3クールのファルルのことです。この3人のエピソードは各クールの最後あたりに来ているので、見ている方なら言わんとしていることはだいたいわかってもらえると思います。
しかし、この3人にはそれだけではない共通点があると思っています。
プリパラを辞めてしまいそうなそふぃ、既にプリパラを辞めてしまっている校長、プリパラのシステムにより死んでしまうファルル。
プリパラ各クールの「ラスボス」はプリパラに肯定的、プリパラに祝福された者が相転移して、プリパラに否定的、プリパラに呪縛された者になった存在と見ることができます。それを元に戻す物語がアニメプリパラの大きなテーマの一つではないかと思っています。
プリパラ+(プラス)とプリパラ-(マイナス)として模式的にあらわすとこんな感じです。
そふぃ=人気アイドル/+ 自己嫌悪/-
校長=プリパラの思い出/+ プリパラへの怨嗟/-
ファルル=プリパラに選ばれたもの/+ 死/-
物語を作るうえでの機能としてこれを考えると、プリリズなどと比べて、基本的に敵役悪役を出さないプリパラの作風において、プリパラ-によってストーリーに適度な緊張感が生まれます。さらに、違った形のプリパラ‐がプリパラ+に戻るところをクールごとに反復して描くことによって、物語の舞台となるプリパラについて、根幹はぶれず、なおかつ様々な面から掘り下げられています。機能的だし、見ている間はそれを気づかせない。
やっぱりものすごいカオスな話のようでいて、完成度も高い。それがプリパラの魅力です。ぽあーん。
(主に一期の話だったのであじみ先生は出せなかった)