ニィタの日記

アニメ、漫画、ボードゲームなど。Twitter:@niita0119

真・女神転生4のゲストデザイン悪魔について

典型的な三日坊主をやってしまいました。前回の記事から3か月。

まあ、1か月に1回は書くくらいのペースでやっていきたいと思います。理想は低く。

 

プリパラ日記からまただいぶ毛色が変わりますが、真・女神転生4FINALをやっておりました。なかなか良かったです。真・女神転生4の続編のようなものですが、真4で不満が多かった部分を的確にブラッシュアップしているような印象です。FINALの感想は、まだ絆ルートでクリアしただけなので、皆殺しルートもクリアしてから書こうと思いますので(いつになるかわかりませんぐぁ)、今回は周回遅れで真4の方について語りたいと思います。

真4では、5人のクリエーター(以下敬称略で)が外部からゲストデザインということで悪魔デザインを作成していました。『牙狼』の雨宮慶太や、様々な特撮番組などにデザインを提供している韮沢靖など5人とも確かな技術を持っているクリエーターさんです。しかし、自分の狭い観測範囲でしかありますが、不評なものもありました。実際自分もこれはメガテンとしてはどうかなというものもありました。しかし、デザインとしての面白さでいえば良いものばかりだと思いますし、メガテンの表現の可能性を広げることができると思うので、ゲストデザインという試みは続けてほしいと感じました。

というわけでゲストデザイン悪魔について、デザイン自体やその悪魔の伝承、ストーリ上での役割などを含めて軽く語っていきたいと思います。デザイン裏話的なものは『真・女神転生4公式設定画集』を参考にしています。

 

ミノタウロス:王道のデザイン。牛の鼻がドクロの眼窩になってることや、牛の前足が腕に接続してるところがさりげなく上手い。

ナパイア:ピクシーに代わる再序盤妖精。サイケで毒々しい色使いと、全体的に球形の多いデザインは面白いしかわいい。顔はよく見るとバタ臭いけどまあ。ナパイアの伝承は一切関係なく、坂口安吾の『木々の精、谷の精』がイメージソースらしい。FINALだときらりんボイス

デュラハン:おそらく「問題作」の一つ。首なし騎士を首が動くタイプのアクションフィギュアみたいな球形のジョイントで表現しているアイディアは面白いが、メガテンの世界観にあってたかは微妙。個人的にはそれよりも馬に乗っていないのが気になる。騎乗というのは伝承的には大きい要素なので。あと、これはデザイナーさんの責任ではないんだが、登場シーンで突然男がこの女性タイプの悪魔になるのも変さに拍車をかける。その男も特にデュラハンと関係ないし。悪魔が持っている伝承とストーリー上の役目がズレてるってのは真4でよくあった。SJだと細かいネタまで伝承由来だったりして面白かったんだが。とはいえこれは本当に小ネタレベルの話なので本質ではない。

コウガサブロウ:これはかなり好評だったと思う。とにかくシルエットからかっこいい。伝承で蛇になってしまったという部分を反映して、全身に蛇の骨の意匠があるほか、よく見ると両腕は胴体と離れて浮遊していて、鱗のような模様と合わせて、胴体でも蛇を表している。さらに両腕がないことで蛇であることを表すというのは、金子デザインのタケミナカタでもやっていることで、タケミナカタとコウガサブロウは伝承上関連性があるというのをそれによって示していると思われる。パッと見のかっこよさと、伝承への忠実さと、それを斬新に表現するアイディア、さらに過去のメガテンへのリスペクトまでがすべてそろっている優等生。
あと、両腕がないタケミナカタっていうのはたぶん諸星大二郎暗黒神話がさらなる元ネタだと思う。金子先生が諸星作品好きっていうのは効いたことないけど、趣向からしても年代からしても影響を受けていて全くおかしくない。

テンカイ:霊的国防兵器たちのなかで唯一(確か)FINALにも登場。天海についてはそんなに詳しくないので伝承とのリンクはよくわからない。普通にいいデザインだと思う。

ケムトレイル:すごいパワーを感じるデザイン。個人的にかなり好き。ケムトレイルは現代日本に信仰している人がいるものなんで、信仰されているほど強い理論でいけば相当強いと思う(笑)。

エンシェントデイ:新しい種族:神霊の悪魔。聖書の「日の老いたる者(エンシェントオブデイ)」が元ネタ。ネタ的にはさらに古代宇宙飛行士説とか神の戦車とかも含ませているらしい。石像のような人体的な部分と幾何学的な立体が合わさってて面白い造形。これもかなり好き。小さい絵だと見えない中央部にあるUFOがチャームポイント。真4設定資料集を買う意義の一つはエンシェントデイのUFOを見ることである。

サナト:イメージは「全身にトーテムポールが付いてる邪教の千手観音」だそう。「永遠の若者」として「日の老いたる者」のエンシェントデイと対っていうのがおもしろくて好き。デザインも左右対称のエンシェントデイに対して非対称、浮いてるエンシェントデイに対して車輪があるなど対照的。これもなかなか好き。

ケンタウロス:外見自体はかっこいいのだけど、これがケンタウロス?と思ってしまうようなデザイン。実際、デザイナーは従来のケンタウロスらしくないものを目指したらしい。全体的なシルエット人型の様でいて、首から上が全く異なる面白いデザインではある。こういうの特撮では作りにくいだろうし、メガテンでこういうデザインが出ること自体はいい。だが、やっぱりこれをケンタウロスと言われるとやはり違和感がある……。デザインは本当に好きなのだけど。ついでに言うとこの頭部ってユニコーンっぽいけど、翼があるのはペガサスで、いろいろゴッチャになってる。あとこれもデザイナーサイドの問題じゃないんだけど、ゲーム中でケンタウロスは最弱悪魔なんだが、どう見ても強そうなんですごい違和感wあとなんで獣系じゃなく妖魔なんだろう。例えば、デザインの強さも合わせて、いろんな馬系の悪魔の要素を吸収したボス悪魔としてのケンタウロスとかにしたらこのデザインも映えてよかったんじゃないかなどと妄想。

メデューサ:おそらくかなり不評だったと思われる悪魔。ただ、不評の原因は顔に集中してると思う。顔が変わったFINALのメデューサは特になんも言われてない気がするし。実際、顔以外の要素はかなりかっこいいし、蛇ではなくて蛇の骸骨にしているなどのアレンジを加えながらもオーソドックスなメデューサ像に近い。

アスモデウス:有名悪魔だけあってデザインも王道にかっこいい。韮沢先生の本領発揮という感じ。文句なし。

ミチザネ:肉体の代わりに電気の体がある鎧武者といった感じでデザインはかっこいい。ただ、これはどちらかというと動いているところを見たかったかも。CGで電気の体が伸びながら腕だけが飛んでいくとか、絶対かっこいい。問題はあんまり菅原道真っぽくないところだろうか。雷要素はあるが、どう見ても文人ではなく武人。学問の神様っぽさはない。あと、ほとんどの霊的国防兵器に言えることだが、伝承的にあんまり国防しなさそう。日本由来ではあるのだが。いかにも国防しそうなのはヤマトタケルくらいか?個人的に霊的国防兵器になってると面白かったなと思ったのは愛国桃太郎ですw

ルシファー:これもわりと不評だったデザインだろうか。ルシファーというとルイ・サイファーのイメージが強すぎるのも原因だろう。ルシファーは作品を超えて同一人物みたいな風潮もあるし。まあ個人的にも不気味な凄みはあるけどかっこよくはないデザインかなと思う。伝承的にもどうつながってるのかいまいちわからないし。

マサカド:将門が東京を覆う岩盤になったというストーリーを反映している都合上、従来の将門とはかけ離れたデザイン。単品で見れば怪獣映画に出てきたらすごく盛り上がりそうないいデザインだと思う。まあ将門要素はほとんどない。あと、ストーリーの根本からの問題なんだけど、マサカドが岩盤になるってなんかよくわからん話だよな。

クエビコ:大地の豊穣神らしいいいデザイン。ただカカシ要素はない。デザイナーの言う通りカカシ要素あるとどうしてもギャグかホラーになるよな。問題としては、クエビコは知恵の神というイメージだったのでこのいかにも知性なさそうな地属性パワータイプっていうのは個人的にクエビコらしくはない。

ヤマトタケル:変身ヒーローのようでかっこいい良いデザイン。普通にしたら「卑弥呼さま~」になってしまう角髪がうまいことかっこよくつけられてる。全身の勾玉も違和感なく、正統派にかっこいい。

ケンジ:元ネタがない分自由にやれる良いデザイン。しかし元は人間だったはずなのにどう強化したらこうなるのか。真4は虚無エンドだとケンジが実質的なラスボスなので顔がラスボスでメガテン踏襲してるなとか考えてたけどそういう意図だったかは不明。

アスタロト:正統派にかっこいいと同時に、遠くから見ると大蛇が舌を出しているように見えるというだまし絵的面白さもあるナイスデザイン。アスタロトは女性魔王であってほしいという個人的な願望はあるがまあいいデザイン。

オモイカネ:オモイカネ、プルート、ヤソマガツヒは立体物が原型という珍しいパターン。どれもうまくいって絵やCGでは出ない味が出ていると思う。オモイカネは脳神経の塊が巻物を抱えているというイメージらしい。メガテンの日本神話の神は基本的に人型だったので完全に人型から離れているデザインはメガテン的には異端だがこれ単体ならいいデザイン。

プルート、Pアーミー:プルートはギリシア・ローマ神話の冥界の神だが、これは名前だけ同じのほぼオリジナルキャラと言っていいと思う。語源はむしろ放射性元素プルトニウムの方だと思うし。ヤバさが出てるいいデザインだし、Pアーミーも得体がしれなくてよい。砂漠の東京にはじめて来たときは動きとか謎さとか含めてまじでキモかったな~。原子炉のイメージらしいのは神が送り込んだ人類抹殺の兵器だというストーリーと合わせて微妙に違和感。原子炉というか原発って別に人類抹殺の道具じゃなくてむしろ人類の生活に役立てるための道具で、だからこそいろんな対立が起こるわけで。単純に兵器として扱うなら原子炉じゃなくて核兵器のイメージのほうが良かったんじゃないかなと。話変わるとヤマトも原発のことを言ってるんだと思うけど微妙。真4は311とか原発問題に一枚噛もうとして微妙にずれてる部分が多いようなイメージ。そういう意味では311的想像力がほとんどないFINALのほうが好み。

ヤソマガツヒ:みんな大好きヤソマガツヒ。グロイんだけどどこかコミカルな絶妙のバランス。CVの力も大きいが。

リリス、ミカエル、ラファエル、ガブリエル、ウリエルメルカバ雨宮慶太デザインの悪魔たち。これも不評が大きかったと思う。良いという意見もかなりあったが。やはり四大天使が従来のイメージと違いすぎる+それぞれの見分けがつかないというのが問題か。というかまあ今回雨宮デザインの悪魔は全部似たり寄ったりなところはある。同じ天使というモチーフで5つもデザインを作るのはなかなか難しのだろうなという感じ。